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恋と愛のあいだでのいくらかの旅路

黒岩 漠(一橋大学大学院博士課程、社会史・思想史)

  たとえば英語のLoveとは異なり、僕らの言葉では恋と愛という語が区別されていて、そこに微妙な使い分けがなされている。恋という語には、何か〈ときめき〉のような情念が込められていて、どこか幻のようなもの、理想の投影や熱っぽい幻想化といった契機、いずれ消える――冷める――ことが予感されるようなものといったニュアンスが含まれる。それに対して、愛は、より強度のあるもの、絶対的なものといったニュアンスが相対的に強調され、そのことと関係して親子関係や宗教上の用語としても使用されている。恋は青春の神々が動く圏域に属しており、愛は人類史の全体に属している。

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