スタジオ518
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成田ヒロシ – 消えた足跡
NEW SOLD OUT2020年に出会ってしまい、
道程の道程に既に大きな影を落とす人物、 成田ヒロシの諸作品が入荷しました。
終戦から数年後の暑い夏の日に名古屋からこの世界に侵入し、実家2階でアルトサックスをかき鳴らし、近所の小学生から「 あそこのおにいちゃんは頭が”コレ”らしい。」と噂された成田。 「それでも親から、これはやってはダメという制限を受けたことはない。」と彼は言う。 DNAに刻まれた自由な表現術と軽快なフットワークを頼りに 、20歳頃に上京。 運命的な出会いとなった恵比寿にあった格安アパートの、 通常よりさらに安い屋上の物置小屋に身を寄せ、 仕事を転々とする。「これまで50以上の仕事に就いたけど、 一つとして同じ仕事はなかった。 だからいくつになったっていつも新人なんだよね。」 晴れた冬の朝の湖面のようなキラキラ度を誇るその瞳には、世の中の広さを本当の意味で知る者だけが獲得できる謙虚さと、 すべて見透かしているような鋭さが混在し、 シロナガスクジラと大鷲を同時に目の前にしたような気持ちになる 。 成田は、
つい先日2021年1月7日にライブ中に急逝した南正人と上京 して間もない頃から親交が深く、 細野晴臣も参加した南のデビュー作「回帰線」 のアートワークを手掛けている。音楽で言えば、 浅川マキのカバーが有名な「私のブギウギ」 は成田が手掛けた代表曲だ。他にも70年代フォークシーンを中心とする多くのアーティストに詞を提供している。隔月で発行され、157号まで続いたIndependent Magazine「街から」の表紙の絵をすべて担当し、鉛を使った造形物の制作、 家具の制作、店舗の内装工事など、彼の創作に領域は存在しない。 近年は、今回道程でも扱う運びとなった詩の作品と、 ポエトリーリーディングのライブを主な表現手法としている。「 その道だけを極めつくしたエキスパート」 が求められる企業中心の転職市場の面接官には、 彼の履歴書は真っ白に見えるかもしれない。しかし、 これまでの数多の経験から得てきた技と人脈、 それらを繋ぎ合わせることで生まれてくる新しいアプローチと創作 、「まだ見たことがないものを見るために生きている」 と宣言する好奇心、雑踏をすり抜けていく嗅覚・・・個人がこれまで拠り所としていた社会という柱が揺らぎ、個人として根をはり生きていく力を問われる現代において、 フリーランサーとしての彼の履歴書は、 A1サイズの紙にも収まらない。たぶん2枚使っても全然無理だろう。 明日、東京が再び焼け野原になったとしたら、 彼のような人間がサバイブし、 新しい街を作り上げていくのだろう、私はそう思った。 この世界では、知名度と実力は比例しないし、
私はそれでいいと思っている。それがいいと思っている。 本当の伝説は、いつだってアンダーグラウンドで加速する。
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