説明
Label: タラウマラ / Japan
Year: 2024
Format: CD
Condition: NEW
track5, V
¥2,000
10曲入り。threshold低めでパンパンに音が詰まった「轟音系アンビエント」と呼んでみましょうか。実験的な音楽の起源を西洋古典へのアンチテーゼとして生まれた現代音楽だとした場合に、そこには戦争によりあまりにも感情的になりすぎた世界に「NO!」を突きつけた、記号化された音達が登場し、それが後のミニマルミュージックに繋がっていくわけですが、この作品に入っている音は、その系譜の実験音楽と比較した時にはあまりにも感情的で私的な有機物が入り込みすぎているわけです。アンビエントという音楽も今や超拡大解釈され、ある種の質感を表す言葉のように使われていますが、元々は聴くという行為を強要しない、その場の空気に溶け込み、その存在が意識されない(主張されない)音のことを指し示していました。この音楽は、我々にとっては、意識せずに聴くにはあまりにも刺激的ですが、これを作った本人にとっては空気の様に、常に耳の奥の方で鳴っている音のように、ごくごく自然な環境音だったような、そんな気がしてならないのです。
(以下、リリース元のコメント)
アルコールとインシュリン、自己憐憫と承認欲求、戯言と秘事、川西と西成を往来し、罵詈雑言と吐瀉物を撒き散らした裏側で、得体の知れない音源を残したclan28とクマべナオキ。数年前、音楽の現場を離れていたクマベを部屋から連れ出し、ふたたび音楽の鳴る場所へと誘ったclan28は相棒と愛犬を残してこの世を去った。薄汚い街の薄汚いマンションの一室に堆く積まれた書籍とレコード、手垢にまみれた機材の数々、シンクを埋め尽くすアルミ缶と吸い殻、インシュリンの注射器とカートリッジ、ドッグフードと糞尿、カンペハピオのラッカースプレーと血塗られた姿見鏡。足もとにまとわりつく小型犬と頭上の食器棚に貼られた子どもの落書き。そこにはclan28の生活のすべてとスチルスの欠片が混在していた。その部屋の中央で仰向けに倒れていた彼に向かってかけた言葉はここには記さない。音楽家としてのclan28は僕との約束を何も果たさなかった…わけではなかった。クマベから手渡された音源を聴いて、僕はようやく彼との因縁を終わらせることができると確信した。この奇妙で愛らしい音楽は鼓膜の内側で蠢き、確かに脈動した。clan28同様、どこにも居場所がない音楽だと感じた。だから頼りになる同志の力を借りてこうして作品化し、居場所を作った。棺の中の彼とは顔を合わせることもできず、それ以降の鬱屈した感情もうまく言語化できずにここまできたが、ようやく手向けることができる。居場所がなかったわけじゃない。最初からそこにあったのに互いに気付けなかっただけ。歪曲した電子音とシタールの蜜月により育まれた去勢以前の音階を、四畳半神話大系下に於けるビザールDUBミュージックとしていまこそ世に問う。これが俺たちからアンタへの鎮魂歌だ。そして「2」から「1」となったクマベナオキはスチルスの名をひとり継承し、いまも様々な場所で音を鳴らしている。2-1の答えを誰も知らない。知るものはそれ自体が、音楽だ。
clan28 / Electric,Beats,Synthesizer
クマベナオキ / Guitar,Sitar
在庫あり
Label: タラウマラ / Japan
Year: 2024
Format: CD
Condition: NEW
track5, V